WINE BAR 考察 [Wine]
飲食店の年間の開業率と廃業率の割合を各種の統計で見ると、廃業率が開業率を大きく上回っているのがわかります。私が車でよく通る、ある街のラーメン街道では、不動の人気店を除くと長続きするお店は少なく、場所によっては半年周期で看板が掛け変わっていることに気がつきます。駄目となると撤収が早いのは共通しており、その後にできるお店は居抜きのためか、すぐにお目見えして周囲を驚かせます。これはラーメン店の話しですが、ワインバーも商売の難しさは変わらないでしょう。
さて、先に書いた通りリアリティはないものの、ここ最近は、もしも私がワインバーを開業するならばと考え、つい飲みに行く先々で真剣に観察するようになってしまいました(自社のワインを売らなければならないので、商売の延長ということもあります)。考えるのは、立地、客層、店舗面積、サービス、単価など。そこで近隣を飲み歩いて気がついたことを折角なので書き留めたいと思います。この話が将来どこに行き着くのかわかりませんが、備忘録的なものとご理解ください。
「良いお店とは、あたりまえのサービスがきっちりこちらの期待通り行われているお店である」
これは以前にも書いた、ある有名飲食店グループの代表がラジオで述べていたことです。聞いたときストンと腑に落ち、今でもこれ以上にサービスの本質を突いた言葉はないと思っています。
例えば、私は去る日曜日に家内と義母の3人で地元にあるトラットリアでピザランチをいただきました。コース仕立てだったのですが、それが思いのほかボリューミーで食べきれずピザが残ってしまったのです。そこでサービスの方に持ち帰りたいとお願いしたところ、嫌な顔一つせずに、丁寧にアルミで包んでビニール袋に入れてくれました。そこには気の利いた持ち帰り用の箱などありませんでしたが、親切な対応に気を良くし、また来ようと思いました。この話は一見あたりまえのようですが、もしここで「うちでは持ち帰りはやっておりません」などと、マニュアル的に、あるいは木で鼻を括ったような言われ方をしたら、そのお店には二度と行かないことでしょう。
それはさておき、良くも悪くも近所で気になるお店(開業の可能性を考え、いずれもこじんまりとしたお店です)について書きたいと思います。
まず1軒目は一つの“基準”と思えるお店についてです。そこは料理人(店主)とやや年配の女性(サービス)が切り盛りするワインと創作料理のお店です。昨日、今日にできたお店ではありません。HPを見るとこだわりを前面に出していて(店主がわがままなのは許してくださいとまで書いてあります)、既に繁盛店になっています。一時期、(今いる女性が入る前)酒番を務めていたソムリエの資格を持つ女性が辞めた後に、いきなりミュージックビデオを流したり、ワインの管理がおざなりになったりと、眉をひそめた時期もありましたが、今は以前のような雰囲気とサービスに戻りました。
ではなぜ、そのお店が繁盛店なのか自分なりに考えてみました。カウンターで8席程度、2名掛けのテーブルが一つ、2階もあり、いざとなったら人が通せます。
繁盛している理由は思うに、
①店主が調理しており、料理にそれなりのクオリティがある(気持ちのこもった料理が供されている)
②カウンター越しに店主との会話も楽しめ、また調理の様子もわかり安心感がある
③サービス(1名)もいるので、オーダーがしづらいということがない
④店主の人となりにお客がついている
⑤お店が広すぎず、綺麗すぎず、明るすぎず、殺風景すぎず、そしてカウンターのため、お初でもお隣さんと会話が生まれる酒場的な雰囲気がある
と要因を分析してみました。あと付け加えれば単価がお店の雰囲気に合ったものだということも言えます。
この1から5のうち、いくつかが、他の苦戦しているお店(私がご近所で見たお店)には欠けており、その差が意外に大きいのだなと思うのです。もしかしたら、客数が少なくても、彼等なりのコンセプトで良しとしているのかもしれませんが、毎月黒字を出し、最低でも10年はランニングできなければ意味が無いと思うので、考えずにはいられません。
ある飲食のコンサルタントが・・・
つづく
2012-11-14 11:52
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