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A+オーストラリアワイン(2) 歴史 [Wine]

A+オーストラリアワインのセミナーより。3/26のポスト http://sunday-surfs.blog.so-net.ne.jp/2013-03-26 の続きです。オーストラリアワインの歴史について、かいつまんでご紹介します。ぜひご覧ください。

オーストラリア初の商用ワイン造りは1800年代の初頭にまで遡ります。この頃、日本はまだ江戸時代。ちなみにペリーが浦賀に来航するのは1853年ですから、歴史ありといえそうです。葡萄の木はイギリスからもたらされました。きっと入植したイギリス人がワイン飲みたさに持ち込んだのでしょうね。そして1850年までには現在の生産地ほぼ全域に葡萄の木が植えられました。

写真.JPG
ヴィクトリア州政府の方がFOODEXの打ち上げでご馳走してくれたお料理。六本木のROTIのシェフがメルボルン出身で、現地のお料理をということで腕を振るってくれた。

さて、ヨーロッパはというと1800年の初頭は産業革命のまっただ中。ヨーロッパのワイン造りは産業革命による荒廃と病原菌の害に見舞われていたのです。しかし遠隔地で孤立したオーストラリア大陸はそのような危機と無縁でした。1800年代の半ば、ヨーロッパではフィロキセア(アブラムシの一種)が猛威を振るいますが、オーストラリア政府は検疫の強化と国内産地間の葡萄の木の移動を禁止するなど、厳しく規制し乗り越えました。この時、フィロキセアはヨーロッパの葡萄の木の2/3を枯らしてしまったそうです。

私もオーストラリア旅行の際、着陸後、機内で殺虫剤が散布されたのを憶えています。きっとこの時の教訓が生きているのでしょう。このようにして南オーストラリア州は、フィロキセアの被害を免れました。同州の銘醸地、バロッサ・バレーでは、太古からの肥沃な土壌にフィロキセアの被害を免れたことで、ヨーロッパの原木の根を持つ世界最古の葡萄の木が今でも生き続けています。

オーストラリアのワインは最初から今のスタイルだったわけではありません。1960年代までオーストラリアで造られるワインの8割はシェリーやポートなどの酒精強化ワイン(食前、食後に楽しまれるものですね)でした。しかし第二次世界大戦後にヨーロッパからの移民が増えるにつれ、テーブルワインが普及し、食事とともに楽しむスタイルが定着しました。

さて、ここまで読んだところで、皆さんはまだオーストラリアワインを安ワインと思ったりしていませんか?

かくいう私もオーストラリアワインといえば、何リットも入っている頑丈な紙箱に入ったワイン、もしくは1本数百円のワインばかりと思っていました。事実、そのような時代もありました。

1980年頃には国内需要の急激な伸びに合わせ、安価なワインが大量に造られました。またその頃には輸出も800万リットル強に達し、大成功を収めます。そして1980年代後半にはそれが4000万リットルまで増えます。しかしそれが後に災いするのですね。量産された安価なワインが国外で大量に流通し、オーストラリアワインは安ワインのイメージが定着してしまいます。大型のスーパーマーケットで目にするものです。

そのように大量生産される傍ら、一部の生産者はオーストラリアが約5億年前という古土壌に恵まれ、気候も冷涼(南の地域を指す)で、高品質なワイン造りに適していることに気付いていました。ハンターバレー(ニュー・サウス・ウェールズ州)のモーリス・オシェア(Maurice O’Shea)という人は、1925年と早い時期からマウント・フレサント(Mount Pleasant)という畑で、黙々と上質のテーフルワインを造っていたそうです。

近年、オーストラリア政府は自国のワインに着目。土壌と気候が高品質なワインを造るのに適していることに気づいたのです。現在、政府は品質規制を厳しくし、粗悪なものを海外に流通させないよう厳重に管理しています。輸出に当たっては政府所轄の検査機関のテストを受けなければなりません。ラベル表示も国の定める基準に違反がないか検品されます。さらに研究機関を設けて一層のイノベーションと高い水準を追求しています。アデレード大学のワイン研究所は世界的に知られており、国内外の叡智が集まっています。また醸造科を設ける大学も多く、ここから若い生産者も巣立っています。今ある個性的なオーストラリアワインは、このような生産者の手によるものが少なくないのです。

・・・・

とま、こんなところです。いかがでしたか・・

次回は産地特性について紹介します。

つづく


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